6月25日号 『携帯電話、故障中』

携帯電話が壊れた。雨の取材先で、ポケットから落ち、雨水の溜まった路面に落ちたのだ。もっともこれくらいの失敗はこれまで何度も繰り返してきたので、まさか壊れるとは思わなかったのだが、どうも打ち所が悪かったのか水の回りが早かったのか、スイッチを入れても何の反応も示さなくなった。

以前に、携帯電話を丸ごとプールへ落としたことがある。あのときは3日ほどかけて乾かしたら徐々に生き返って、最終的にはまったく問題なく使えるようになった。今回も放置しているうちに徐々に画面に明るさが出てきたので、もう少し放置を続けてみようと思う。各方面にはご迷惑をおかけするが、その間、わたしの携帯電話は不通になる。

とかなんとか言いながら、携帯電話が不通だとそんなに「各方面にご迷惑をおかけ」するのかいな、と首も傾げている。実はわたしは大の携帯電話嫌いで、外出中はともかく普段はすぐ電源を切ってしまうか、カバンの中に入れたままどこかへ放置してしまうので、携帯電話でわたしを捕まえるのはかなり難しいはずだ。外出中も、十中八九は呼び出し音を消しバイブレータにしてカバンの中に入れているので、呼び出されても気が付かないことの方が多い。留守番電話サービスへ転送もしているが、そこに録音していただいたメッセージを、気分次第では聞かずに消去してしまうこともしょっちゅうだ。(録音していただいた方には本当に申し訳ない)要するに、わたしにはそもそもあまり携帯電話を活用する気がなく、携帯電話が不通かどうかにかかわらず、のべつまくなし「各方面にご迷惑をおかけ」し続けてきたのだ。

携帯電話歴は長い方には違いない。わたしが使い始めた初代は車載ショルダーホンで、当時の電話番号は「010」で始まっていた。携帯電話(というよりも無線電話)サービス開始直後にのみ割り振られた番号で、一時期010で始まる電話番号は高値で売れたりした、というバカバカしいお話など、最近の携帯キッズたちは知らないんだろうなあ。

今使っているのはドコモのP503i。わたしは折りたたみ式のデザインが嫌いで、ストレートタイプが好きだ。だが、最新の505シリーズには、ストレートタイプがなくなってしまった。しかもデジカメなどがもれなく付いてくるという。着メロはもちろん呼び出し音すら使わないというのに、カメラなんかいらないってば、と腹を立てながら「じゃあ次の機種はどうすればいいのかなあ、そろそろドコモからよそのキャリアへ乗り換えるときかいな」と思っていた矢先のP503i昇天である。神はわたしに何かをさせようとしているのではないか。

神様の真意はともかく、とりあえずは「乾かして直ったらいいな〜」くらいの気持ちでしばらく携帯はエアコンをドライに切り替えて噴き出し口下に放置するつもりだ。エアコン吹き出し口に置くとかえって結露するという話もあるが、冷やさないよう気をつけて乾燥に賭ける。もし直らなかったら、気に入った機種が見当たらない以上、この際しばらく携帯電話を使わない生活も試してみようか、などとも考えている。気が付いたときには、子供っぽいギミックが満載されて「電話もかけられる」的なわけのわからない装置に変身しており、頭の古いオヤジは腹を立てることもできなくなって昔懐かしい携帯電話を探し右往左往しなければならなくなる、に505パケット。

後日談は『逗子通信』の7月前半分で。