３月１５日号　『一万人ジョギング大会』

昨年から我が家の周囲を走っている。一時期、鬱病が出たときに休んでいたが、暮れからはほぼ毎日走り続けてきた。元々は、昨年の闘病の間に低下した体力を取り戻すつもりだったが、暮れからは体重維持も大きな目標になった。闘病の間にわたしの体重は１０ｋｇ以上減って、一時期は７０ｋｇを切った。しかし体調が戻るに連れ体重も増え、昨年暮れには７４ｋｇに達した。

脂肪と筋肉が落ちて体重が激減したのに、筋肉を戻さないまま太ってしまったらこれは典型的悪性リバウンドだ。こりゃまずい、と走り始めた。１か月走ると、腕の筋肉が明らかに盛り上がってきた。好きな物を好きなだけ食べてビールもガブガブ飲んでいるのに、体重も徐々に減り始めた。それと同時に、ジョギングそのものが楽しくてしかたがなくなってきた。これは思わぬ誤算だった。

今やジョギングは、わたしの趣味だ。こうなると、何かに挑戦したくなる。ランニング雑誌を買ってみると、まあ全国各地でおそろしい数の大会が開催されている。さすがにフルマラソンは無理だが、１０ｋｍなら…と思うが、まだトレーニング不足のような気もするし、どうしようかなと迷っていたらちょうどいいのが見つかった。鈴鹿サーキットのモータースポーツファン感謝デーに行われる鈴鹿サーキット「一万人ジョギング大会」である。

「歩いても走ってもいいから国際レーシングコースを１周してみよう」というノリのイベントなので、気負うこともない。距離も５．８ｋｍと手頃、しかも熟知したコースならペース配分も楽だろう。それに、前日までは全日本ＧＴ選手権の合同テストも開催されているから仕事を兼ねて出かけられる。（都合のよいことにテスト取材の仕事も入ったし）

心を決めたら楽しみでしかたがなくなった。天気だけが心配だったが天気予報も良好。金曜夜に鈴鹿入りして土曜日１日仕事をし、消化の良いものを食べてお風呂に入りリラックスして早めに寝た。万全の準備だ。

朝、晴れているのを見て嬉しくなった。お風呂に入り、念のため喘息が起きないように気管支拡張剤を飲んで準備。ホテルの部屋でジョギング用のウェアと靴を身につけ、７時半にタクシーでサーキットへ出かけた。プレスルームへ荷物を置き、ホテルで作っておいたアミノ酸系サプリメントを飲んだ。８時半前にジョギング大会のアナウンスを聞いてグランドスタンドへ。トレーニングウェアを来ているのはごくごく一部、ほとんどは普段着にカメラを持ったウォーキング派で、こちらも気持ちが楽になる。

スタート前にコースへ誘導された。来ているはずの長屋宏和を捜すが見当たらない。スタート直前、場内ＴＶに紹介されていたので、スタートを待つ大集団の後尾まで探しに行くが会えず、そのままスタートとなった。

一旦最後尾近くまで下がってしまったものだから、１コーナーまでは思いもかけない大混雑になり、結局アウト側のグリーンに出て走る。２コーナーを抜けた頃から自分のペースで走れるようになった。まあペースは抑えめに行こうと思っていたからこれでいいやと最初の１ｋｍの所要時間を見たら６分を切っており、普段我が家の周囲を走るペースよりはるかに速い。やはりサーキットは走りやすい、というか、いつものコースが難コースなのだな…。

Ｓ字の上りも、いつも上り坂を走っているので苦ではない。デグナー手前の２ｋｍ地点でタイムを確認するとやはりとんでもなく速い。「時速８ｋｍで４５分が目標、できたら４０分が切りたい」と思っていたが、余裕のペースだ。こんなに楽でいいのかな、もう少しペース上げようかな、でも完走できなくなってもナニだしなと、あれこれ考えているうちにヘアピン手前、前方に長屋が見えてきた。あれ？どこからどうやってここへ来たんだ？と首を傾げつつ挨拶だけして追い抜く。ヘアピン上りも特に苦ではなく、まっちゃんコーナーの３ｋｍ地点も快調なペースで通過。

元来、競争好きなせいか、前に同等の速度で走っている人間を見ると追い抜きたくなる。それだけ気持にも身体にも余力があるが、なにせ５．８ｋｍ走ったことがないので自省し、ペースを守る。スプーンをまわって４ｋｍ。やはり速いし消耗もしていない。スプーンからはバックストレッチを登ることになるが、これもさほどの負担ではなかった。１３０Ｒは、アウト側の改修箇所を眺めながら走る。で５ｋｍのタイムを見ると、「え？　３０分切れちゃうんじゃないの？」というペース。

シケインはインを結んでストレートへ戻る。フィニッシュまで下り坂なのでスパートしようとかとも思ったがやめた。フィニッシュして３０分５４秒。スタートラインとフィニッシュラインが違うので、走行距離では５．７ｋｍ弱、平均時速で１１．０６８ｋｍ。想像もしなかったタイムであった。自分の体力にかなり自信がついた。が、問題は突然鈴木宗男だ。この方、例の騒動になった後で４か月前に胃ガンの手術をしたそうで、そのリハビリのため同じ日に開催された東京シティマラソンに出走したのだ。タイムは１０ｋｍを４７分余りというから平均時速では１２．７６６ｋｍになる。負けてるじゃん！