三号室  
サンプルその06  02年10月 葉山しおかぜ公園にて採取。

本コレクション初の女性サンプル。箸とは関係がないが、マニキュアがなまめかしくてなかなかよろしい。サンプルはいわゆるグラフィックデザイナーであり、なおかつ幼少の頃からの武道家でもあるそうな。子供の頃から拳ばかり握っていたせいか、箸の持ち方も思い切り良く違う。最大の特徴は、一の箸と二の箸を一気に親指で押さえ込んでいる点。そういう意味ではサンプル05と似てはいるのだが…。

親指が二本の箸を押さえ込む際、人差し指は箸を支えるよりもむしろ親指と輪を作って親指の力を受け止める役割を果たす。これは、サンプル04でも見られた工夫。この角度から見ると、人差し指が浮いており、親指しか相手にしていない様子がよくわかる。ここまでもサンプル05に似ているが…。

では一の箸はどうやってコントロールされるかというと、中指と薬指が働いている。基本はサンプル04、サンプル05に似たケースだが、一の箸のコントロールはいささか異なる。注目すべきは、このサンプルの場合、親指が人差し指の第一関節に当たっており、人差し指の第一関節より先は、わずかに動きながら場合によっては中指と連携して一の箸のコントロールを手伝っている点である。上の写真では宙に向かって伸びていた人差し指が、ここではわずかに曲がって一の箸に添えられている。

食品を挟む際、サンプルの最大の特徴が発揮される。一の箸の開閉のコントロールは基本的に中指と薬指によって行われるが、人差し指が親指としっかりと連携して支点を形成する。そして、二の箸は親指の付け根と、驚くべき事に小指によって支えられるのだ!この筋力、特に力強く突き出した小指の筋力は並大抵のものではない。訓練のたまものか。サンプル04がきわめて柔軟なスタイルであるのに対し、こちらのサンプルには筋肉の力を感じる。手刀では突かれたくない。